ハザマでシジマな瞑想所

ハザマシジマの思索場所。ゲーム等趣味、自己啓発、その他精神的な事柄がメインです。

新年兼誕生日に「N・H・Kにようこそ!」を観る

お久しぶりのブログ更新です。皆様あけましておめでとうございます。

約1年半ぶりにはてなブログに触れたハザマです。

 

今回は新年早々「N・H・Kにようこそ!」というアニメを観たので、その感想をうろ覚えながらも語ります。このアニメは2006年に放送されたもので、昨年末の一挙放送を見つけて、その録画を正月に観ていました。

 

 

・物語の始まり

 主人公の佐藤達広は引きこもりの大学中退無職。部屋の中では、隣の住人が流し続ける美少女アニメの曲が終日聞こえてくる。そのような彼の元に、叔母の宗教勧誘に付き添う形で現れた美少女、中原岬が登場。ここから物語が動き出す。

 

・ところで「N・H・K」とは?

 佐藤曰く「日本引きこもり協会」のこと。NHKは質の高い映像作品を流すことで人を自宅に引きこもらせる悪の組織であると、物語序盤での彼はそう陰謀を提唱している。

 

・泥や傷を被り続けた日陰者達による青春物語

 主人公佐藤も訳アリだが、岬もまた怪しい。彼女曰く、佐藤とは初対面ながらも彼のことを良く知っており、彼を救おうとしているらしい。しかし何故彼を一方的に知っているのか?おまけに、17か18歳で叔母の元に住んでおり、漫画喫茶で働いている。彼女にも何か訳がありそうだ。

 佐藤が後に再会する、高校時代の後輩の山崎。彼はゲーム作りへの情熱が強く、その為に引きこもりの佐藤を外へと連れ出した程。しかし彼もまた歪みがある。頑固さ故に周囲と衝突し、虐められたり疎まれたりすることがよくあった。

 他にもこうした歪みのある登場人物が多数登場しており、各々がゲーム制作や旅行等の行事に共に打ち込んで、友情や恋愛感情?を展開させていく。その様子は、日陰に追いやられてしまった者達の青春のよう。

 本作は様々な日陰者や社会不適合者を扱った重めな内容ではあるが、ところどころにギャグも挟まれている。主人公の妄想シーン(彼の欲望を反映したものから病的なものまで)や、登場人物の努力が空回りするシーンが結構ギャグ(兼悲劇)としてあった気がする。

 個人的には、佐藤が先輩の旅行の真の目的を知らずについていく回と、アニメ最終回の佐藤の妄想と行動力溢れる展開が好き。

 

・青春の儚さ

 しかしそんな尊い青春も、所詮は社会不適合者達による一時のもので、外的要因で容易に崩れてしまう儚さも印象に残った。

 周囲の反対を押し切って北海道から単身上京しゲーム制作を学んでおり、ゲームへの熱量が凄かった山崎でさえも、父親の病気からくる経済的な事情で故郷に帰って家業を継ぎ、佐藤にグッズを託す。

 あれだけあったはずの山崎のゲームへの情熱が、経済事情一つで消えて、二度と蘇らない。実家周りの人間関係を飲酒でもってこなす大人になり、やがて結婚した。幸せな結末だ。しかし切ない。

 アニメ最終回で、各登場人物は各々の現実を生きる為前進し始めた。幸せで爽やかで前向きな終わり方だったが、夢から覚めたような寂しさも感じた。

 

・コメディ風の演出に紛れ込んだ統合失調症

 主人公は引き篭もりでオタクの大学中退無職の主人公であることは作中でも明言されており、本人も痛すぎるほど自覚していた。と同時に、アニメ本編内で病名は出ていなかったが、恐らく彼は大学1年頃から統合失調症を発症しているのではないか?

 彼が単に周囲の人が自分を蔑んでいるような気になること、そしてそれに苛まれることであれば、私自身も人に疎まれ蔑まれたオタクとしての人生を歩んできた身として共感する。そしてアニメにはイメージ演出もよくあること。ここまでならまだ単に疎まれたオタクとしての自意識の演出と見なせる。

 しかしその否定的な想像が高じて通学が不可能になり引き篭もる、家電が陰謀論を唱え始める、雑踏から嘲笑の声が聞こえてくるとなると、流石にこれは精神疾患、それも統合失調症の症状ではなかろうか?

 このアニメが放送された2006年当時では精神疾患への理解が進んでいなかったのかもしれないが、彼が精神科など医療に繋がっていればと、少し引っかかった。

 

・本作が自分の現状と少し重なった

 丁度新たな年の始まりで、自身の誕生日でもある時期に「N・H・Kにようこそ!」を見たことで、己の身を振り返るきっかけにもなった。

 私自身は(恐らく燃え尽き症候群由来の)抑鬱を患ってから数年経った身で、一番症状が重い時期と比べて非常に回復したが、恐らくまだリハビリが必要。現在は安定しているが、自分の周囲に何かが起きれば、アニメ本編の状況よろしく、自分の置かれた立場は容易に変化しうる。

 もっともそれが真だったとしても、今の私が焦ったところで状況が良くなりづらいどころか、病状を悪化させる可能性の方が遥かに高いので、焦らず生活を回復させるのが一番。しかしこの視点をほんの少しだけ、焦らない程度に覚えておこう。

 

今回は以上です。読んでくださり、ありがとうございました。